第2章 母
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
不死川実弥と申します。
職業は鬼狩り、鬼殺隊の柱を務めさせて頂いております。
葉月さんに出逢い、共に過ごし、俺の人生は変わりました。
暗く先の見えない俺の人生に、葉月さんは明るく光を灯してくれ、こんな俺をいつも笑顔で迎えてくれます。
こんなに素敵な女性を、俺は他に知りません。
俺は葉月さんと一生添い遂げたいと、そう思っております。
何があっても守り抜くことをここに誓います。
まだまだ未熟者ではございますが、温かく見守って頂ければ幸いです。
まだ先ではありますが、時が来たら俺の屋敷で一緒に暮らす約束をしました。
その時は、貴方にも一緒に来て頂くつもりでおりますので、どうぞ宜しくお願い致します」
全てを伝え終えると深々と頭を下げる。
「実弥、さん…」
名前を呼ばれ、ふっと顔を上げると、目一杯涙を溜めた葉月がいた。
今にも溢れ落ちそうだ。
「どうした葉月」
「いいんですか…?」
「ん?」
「一緒に、お母さんも…連れてってくれるの?」
「んなモン当たり前だろォ」
ぽんと頭を撫でてやると、堪えきれなくなった葉月の涙がぽろぽろと溢れ落ちる。
よく泣くなァと呆れながらも、そんなところが愛しいと思いながらまた抱き寄せた。
「良かった…。置いてかなきゃいけないかなって思ってたから…」
「オイ、大事な家族だろうがァ。何でそんな考えになんだよ」
「だって…仏壇重いから。運ぶの大変ですよ?」
……そこかよ。
「問題ねェ。うちの隠に手伝わせりゃあっという間だ」
「かくし?」
「あー、鬼殺隊に隠って呼ばれてる奴らがいてな。その辺はまた今度教えてやる。伊黒と甘露寺だって呼べば手伝ってくれんだろ。特に甘露寺はお前の事気に入ってるからなァ」
「女の子にそんな事…!」
「言っとくが、甘露寺はその辺の普通の男より強ェぞ。柱だからなァ」
葉月は頬に涙のアトを残したまま「へぇ…」と感心していた。
涙は止まったようだ。
残った涙を指で優しく拭ってやる。
「置いてくなんて事しねェ。ちゃんと一緒に連れてく。安心しろ」
「…はい!」
葉月は安心したように、柔らかな笑顔を見せた。