第2章 母
「アァ、よく出来てる」
「えへへ、他にも巾着とかりぼんとか色々作ってくれたんですよ」
「いいお母さんだなァ」
「はい!私の自慢のお母さんです!」
「そうかイ。
……俺も、会ってみたかった。お前のお母さん」
「もし会ってたら、お母さん実弥さんの事絶対気に入ると思います!」
自信満々にそう言うと、ぱっと花が咲いたように笑う葉月。
釣られて俺も口元が緩む。
そんな風に言ってもらえるのは、正直嬉しかった。
直接会う事は叶わなかったが、もしそう出来ていたら、葉月の言うように、俺を認めてもらえるような返事が聞けただろうか。
そうだったらいいと、そう思った。
「なァ、俺も伝えてェ事があるんだが。お前のお母さんに」
「え⁈」
予想外だったらしく、葉月は素っ頓狂な声を上げた。
さっき葉月に俺の事は話してもらった。
俺からも…なんて必要無いかもしれねェが、俺も男だ。
自分の事は、自分の口から伝えたい。
俺は座っていた座布団から降りると、畳に正座をする。
隣に座っていた葉月は目を丸くし、何が始まるのかと居住まいを正した。
俺は仏壇に向かって…いや、
葉月の母親に向かって、改めて自己紹介をした。