第2章 母
「葉月さんも一緒に食べない?」
「え?あ、でも…」
「一人で食べるより、皆で食べた方が美味しいでしょう?葉月さんが一緒に食べてくれたら、私嬉しいわ!」
葉月はチラッと俺を見やる。
お礼のつもりだからか、誘われたことに戸惑っているようだ。
「折角一緒にって誘われてんだ。遠慮する事ねェだろォ」
そう言ってやれば、葉月はぱぁっと顔を輝かせ、
「じゃぁこれ!食べてみたかったんです!」
黒蜜きな粉もちの皿を手に取った。
食いたかったんかよ。
パクッと一口頬張ると、「美味しい!」とご満悦。
そのまま甘露寺と一緒に幸せそうに甘味を食べ始めた。
美味そうに食うなァ、ホント。
にこにこと甘味を食う葉月を見てると、自然と頬が緩む。
『ここにいられるだけで、満足だ』と言った伊黒の気持ちが、少し分かる気がする。
見てるだけで、俺まで幸せな気持ちになれるからだ。
他の奴の食ってる様を見てもなんとも思わねェのに、不思議だ。
「不死川さんもどう?」
「アァ、じゃ、ひとつもらうかァ」
甘露寺に勧められ、俺も一皿甘味を手に取った。
俺はやっぱり…
おはぎ、だなァ。