第1章 幸せのカタチ
「お館様も心配してらして…だからね、葉月さん!私からのお願い!もう一度不死川さんに会って欲しいの!」
「え…会うって…でも」
私が戸惑っていると、さっきまで私に睨みを効かせていた伊黒さんが、今度は真剣な表情で私を見据えた。
「この件に関しては俺からもお願いしたい。このままではいつか仕事に支障をきたす可能性がある」
そこまで言われたら…でも、もし会えたとしてもなんて言えばいい?
拒絶されてしまったら…怖い。
「葉月さん、不死川さんね…あなたと会わなくなってから時々とっても寂しそうな顔をする時があるの。多分、あなたの事を想っているんじゃないかしら」
これは女の感なのだけれどね!と甘露寺さんはにっこり笑った。
不死川さん…
私と会わなくなって、寂しいって思ってくれてるんですか?
もしそうなら、やっぱり私…会いたい。
私は決断した。
「私、会います。不死川さんに…会って話がしたい。でもどうやって会えばいいですかね。不死川さんからは来てくれないだろうし…」
「それなら私に任せて!何か書くものお願いできるかしら?」
「はい!お持ちしますね」
私が立ち上がると、伊黒さんも一緒に立ち上がる。
「あら、伊黒さんもう帰る?」
「いや、少し用を思い出したんでな。すぐ戻るから甘露寺はここで待っていてくれ」
「分かったわ」
甘露寺さんはにっこりと頷く。
それを見て、伊黒さんは目元を和らげた。
そのまま私は紙と筆を持ちに一旦店の奥へ、伊黒さんは店の外へと出て行った。