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小春日和 【鬼滅の刃 不死川実弥】

第1章 幸せのカタチ




「ありがとうございました。送って頂いて」

「オォ、ちゃんと戸締まりしろよ」

「はい」

家まで送ってもらってからのいつものやり取り。

ひとつだけ違ったのは、今日はここまで手を繋いで帰って来た事。

繋いだ手から伝わる不死川さんの温もりが心地良かった。

でも家に着くまでの間、不死川さんは一言も喋らなかったから、その時何を考えていたのか分からなかった。

…どうして口付けしたんだろう…

私からはどうしても聞けなくて、それだけがもどかしい。

「じゃァな」

いつものように、不死川さんは来た道を戻り帰って行く。

もう帰っちゃうんだ…
何も聞けなかったな…

ぼんやりとそう考えながら、私もいつものように見送る。

しかし、不死川さんは少し歩いた所でぴたっと立ち止まってしまった。

どうしたんだろう?

首を傾げていると、突然バッと振り返り、そこから走って戻ってくる。
そのままの勢いで…


「わっ…!」

不死川さんは私を掻き抱いた。


「ししし不死川さん⁈」

え⁈どうしたの⁈
抱きしめられるとか、嬉しいやら恥ずかしいやらで心臓が爆発しそうだった。

しかし、気持ちの昂ぶる私に、不死川さんはとんでもない一言を放ったのだ。


「もう会えねェ」


……え?


激しく動く鼓動が、一瞬で止まりそうだった。


不死川さんはぎゅっと私をきつく抱きしめる。


「ごめん…」


言葉が見つからない。


何も言えないでいる私の体を離し、優しく頬に触れる不死川さん。


「元気でなァ」

「不死川…さん……」

どうしてそんな、泣きそうな顔してるんですか……

触れていた手をスッと離し、不死川さんは私から離れて行く。

「っ…まって…!」

私の制止も虚しく、不死川さんはあっという間にいなくなってしまった。


風の如く……



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