第1章 幸せのカタチ
1人残された私は、暫くそこから動けなかった。
頭が上手く働かない
なんで?どうして?
なんで口付けしたの?
どうして離れていってしまったの?
私危なっかしいんじゃなかったの?
だから一緒にいてくれるんじゃなかったの?
分からない
分からないよ…
何も聞けなかった
何も言えなかった
1番大事な事
不死川さん…私の事どう思ってましたか?
私は…好きでしたよ、あなたのこと
今も、これからも、ずっと…
大好きですよ…
その日は不思議と涙は出なかった。
次の日仕事に行ったけれど、調子が悪そうにしていた私を気遣って、妙さんが3日間お休みをくれた。
でも何かしていないと気が紛れないので、3日間ひたすら家の中のお掃除を頑張った。
3日目のお掃除が終わって、玄関に飾っていたお花の水を変えようと思い玄関まで来ると、目に入るのは花瓶の横に飾った花冠。
流石に少し萎れてきてしまった。
捨てたくなかった。
不死川さんとの思い出まで無くなってしまいそうで。
また、一緒に行きたいな、お花畑…
そしたら…また花冠作ってくれますか?
不死川さん…
「…っ…うぅっ……うわぁぁぁぁん……!」
3日間、溜まっていた涙がどんどん溢れて止まらなかった。
けれど、泣いても泣いても寂しさや悲しさは無くならない。
もう触れてもらえないんですか?
もう顔も見られないんですか?
いつの間にかこんなに好きになっていたのに…
日が暮れても私は泣き続けた。
身体中の水分が無くなるほどに。
それなのに、夜になっても涙は止まってくれなかった。
夢の中でも私はずっと涙を流し続けていた。