第6章 白詰草の花言葉
「で、さっき居たってことは、大丈夫だったって事だなァ」
「はい、本当に良かったです」
葉月からは、心からの安堵の様子が見て取れた。
自分が同じ目に遭っている分、その友人の気持ちが痛いほど分かるのだろう。
どんな恐怖だったか、手に取るように…。
「良かったなァ。…てェ事は、鬼殺の誰かが間に合ったって事かァ」
「はい。その時来てくれたのが、なんと冨岡さんだったそうなんです!」
「…アイツかよォ」
何となく、予想は着いてたが…
「柱が行ったんなら一瞬だったろうなァ」
「冨岡さんも偉い人なんですね!」
「偉い人…」
葉月には一応鬼殺隊の事は一通り教えてはいるが、細々とした所は分からないだろう。
なので、俺達柱は葉月の中では『偉い人』の位置付けになっているらしい。
俺にとっちゃぁァ全く問題ねェ。
寧ろ可愛い。
ただ、括りが冨岡と一緒なのがなァ…
「命は無事だったんですけど、家の方はほぼ全壊しちゃったみたいで、住める状態じゃないみたいなんです」
「そりゃァ…、災難だったなァ」
ほぼ全壊って、どんだけ大暴れだったんだよ…
住める状態じゃねェ、となりゃァ暫くは別の場所で暮らす事になる。
家が直るまでの間仮住まいになるが、そっちの手配は隠の方でいつもやっているのでなんとかなるだろう。
…ん?
待てよ…
「さっき冨岡があそこにいたが、何か関係あるのかァ?」
「そうなんですよ!お家が住めないなら暫くうちに来る?って聞いたら、大丈夫だって言うんです。どこに住むのか決まってるの?って聞いたら…」
「…オイ、まさか…」
溜め方ァ…
嬉しそうな、いや楽しそうにワクワクした様子でその場で小さく足踏みして興奮を抑えている葉月。
言いたくてうずうずしてるんだろう。
俺はもう、嫌な予感しかしねェ…
「冨岡さんのお家に住むんだそうです!」
「マジか…」
きゃー!言っちゃったー!と自分の事のように照れる葉月。
何考えてやがる冨岡…
俺はその場でゲンナリした。