第5章 大変だ、飯がない!
話は聞かせてもらったって…
「オイ煉獄、いつからそこにいたァ…」
「君が店の前からサッと走り出した所からだ」
つまり…?
「最初からだな!」
「声かけろやァ!」
小っ恥ずかしい所全部見られちまったじゃねェかよ!
「伊黒と甘露寺はどこだァ?」
「帰った!」
「帰ったァ⁈」
「そろそろ出ないと任務に遅れるからな!」
このままここにいたら俺も任務に遅れるが…
仕方ねェ、鴉飛ばすかァ。
今日は一般隊士と共闘だが…
死なねェように頑張ってもらうかァ。
「不死川、君は自分の意見はズバズバと言う方だと思っていたのだが…、葉月さんが絡むと案外臆病なのだな!」
「黙っとけェ!」
はっはっは!と煉獄は快活に笑うと、くるっと藤宮の方に向き直る。
「そこの青年!」
「はっはい!」
突然呼ばれ驚く藤宮。
そして煉獄の声のデカさに釣られて同じ様にデカい返事をした。
「人手が足りないそうだな」
「はい」
「では是非、俺を使って欲しい」
煉獄は先程断られた俺と同じお願いを口にする。
聞いていなかったわけではないだろうが…
煉獄の事だ。
何か意図があるのだろう。
「いえ!先程も不死川様にお伝えしましたが、お客様にその様な事はお願い出来ません」
案の定藤宮は、煉獄の申し出を断った。
だが煉獄はここで引き下がらず、更に続ける。
「今回この様な事態に陥ったのは、俺が深く関係しているだろう。食べ尽くしてしまって申し訳なかった」
そう言って、煉獄は深々と頭を下げた。
「頭を上げてください!在庫を把握しきれてなかったこちらの落ち度ですから、あなたが謝る必要はありません」
「しかし、このままでは俺の気がおさまらない!どうか手伝わせてはくれないだろうか!」
「ぇええっ?!」
首を縦に振るまで逃がすまいと、ガシッと両肩を掴み離さない煉獄。
一方藤宮は煉獄の圧に押され、もうどうしていいか分からない様子。
若干引いてるような…
「それに、君はこれからまだ別の所にも行くのだろう?ならば尚更任せるといい!俺と不死川ならば重い米俵もあっという間に運んで来れる!」
藤宮を吹き飛ばしてしまいそうな勢いで力説すると、煉獄はパッと俺の方を振り返り…
「そうだろう不死川!!」
自信満々で言い放った。
「……」
俺も行くのかよ!
いや問題ねェがなァ!