第5章 大変だ、飯がない!
「ったくよォ、日が暮れちまうだろがァ」
「すまない不死川!こちらの方へはまだ来た事がなかったが故、ついはしゃいでしまった!」
「ふふっ、すっごく楽しそうですね。煉獄さん」
さっきっから興味のそそるモノヘ片っ端から突っ込んでいく煉獄。
その首根っこをしっかり掴んでから、俺は店からゴロゴロと引いて来た荷車を、また引き続き引き始める。
何故こんな所まで来る事になったのかという事だが、それは先程の、深刻そうな顔をした女将の一言から始まった。
『食材が……底を突きました』
………は?
『……ええ!』
『それは真か!』
『……』
女将さんの衝撃の一言に一瞬呆けてしまったが、よく考えりゃぁ在庫が無くなりそうなら注文を一旦止めるなりして調整するもんじゃないんだろうか。
すっからかんになるまで提供しちまうとはどういうわけか。
もう少し詳しく話を聞いてみれば…
『うちの主人、人に作ってあげるのが大好きな人なんです。だから今日お二人が沢山食べてくださるのが嬉しかったみたいで、止まらなかったんだそうです。お昼の定食を始めたのも最近だったから余計に浮かれてしまったみたいで。本当にごめんなさいね』
…ここの主人は大丈夫だろうか。
いや、うまい飯を出してもらってそんな事を思うのは失礼だ。
そもそもその前に、厨房にいた他の奴らは誰も気づかなかったんだろうか。
……。
まぁ色々と疑問は湧いてはくるが、起きちまったモンは仕方がねェ。
つうか…
「テメェら二人揃って食い過ぎだァ!」
「誠に申し訳ない!」
「ごめんなさい〜!」