第5章 大変だ、飯がない!
「最近お昼の時間に定食屋も始めたんです。休憩の時間空いてるのが勿体無いって、ご主人が仰って」
なるほどなァ、そう言う事か。
働きモンだなァと感心はするが…
休憩時間は休むモンじゃないんだろうか。
そんなに働いて大丈夫か?
「それじゃぁ一日中働いてんじゃねェか。お前だって昼の時間も配膳する事になんだろ?大丈夫なのか?」
「働き者なのはいい事だが、少々心配だな!」
「そうねぇ、葉月ちゃんはちゃんと休憩は取れるのかしら?」
心配しているのは俺だけではなかったらしく、皆それぞれ思った事を口にした。
「大丈夫ですよ。最近ご主人の息子さんが手伝えるようになったので、調理の方はまわせるって言ってましたし、私の方はちゃんと交代で休憩は取ってるので。全く問題ないです!心配してくださってありがとうございます」
そう言って、葉月はにこっと笑った。
「そういう事なら心配いらないな!では、注文をいいだろうか!」
「私もお願いしたいわ!どんなご飯なのかしら?」
「ここから選んでくださいね」
葉月は煉獄と甘露寺にそれぞれお品書きを手渡す。
今度はどんぶりでこの机が埋もれるんだろうなと思いながら、俺も煉獄に渡されたお品書きを覗き込んだ。
「よかったぁ」
「あ?」
どうした?と、隣に立つ葉月を下から見上げると、
「もうちょっと、一緒にいられますね」
嬉しそうに笑う葉月がいた。
素直にそんな事が言える葉月が愛おしいと思いながら、俺は再び目の前のお品書きに視線を落とした。
その間、伊黒はやっぱり昼飯も食わないつもりなのか、お品書きを全く見る事なく、これでもかと言うほど微笑ましく、甘露寺だけを見つめていた。