第1章 幸せのカタチ
不死川さんがよくお店に来るようになった。
三日に一回くらいは来てるんじゃ無いかと思う。
で、二回に一回は必ず“おはぎ“食べてる。
これ絶対好きだよね?って思う。
因みに甘露寺さんと伊黒さんは実はほぼ毎日来ていて、うちの大事な常連さんだ。
いつも2人で来るからてっきり恋仲なのかと思ってたんだけど、「アイツらはちげェ」らしい。
不死川さんはいつも私の仕事の終わる時間に合わせて来てくれて、帰りは家まで送ってくれる。
仲のいい女給の子に「恋仲なの?」と聞かれ、違うと言ったらとても驚かれた。
どうして家まで送ってくれるんだろう。
聞いてみたら「お前は危なっかしい」と言われた。
そうかな?と思ったけど、一緒にいられる時間が増えるなら、それでもいいと思った。
だって、帰り道が楽しくて堪らない。
隣に不死川さんがいてくれるだけで、なんだか幸せなんだもん。
あぁ、私、不死川さんに恋してるなって思った。
そんなある日。
「もう上がりか?今日は早ェな」
「はい、妙さんが今日はもう上がっていいよって」
「ならちょっと待ってろォ、これ食っちまう」
「あ、いいですよ。待ってるのでゆっくり食べて下さい」
私がそう言うと、悪りィなァと言っておはぎを頬張った。
やっぱりおはぎ好きなんだなぁ。
「……あのなァ、そんな穴が空くほど見られてたら食いずれェ」
「はっ!ごめんなさい!えっと…これなら食べれますか?」
どうしていいか分からず、取り敢えず両手で顔を覆ってみた。
「余計食いずれェわ、普通にしてろォ」
フッと笑って私の覆っていた手を優しく退ける不死川さん。
目の前の不死川さんは優しく笑っていて、どきどきしてしまった。
「不死川さん、今日時間ありますか?」
「あァ、非番だからなァ。どした?」
「今日ちょっと寄り道しませんか?」
「寄り道ィ?」