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小春日和 【鬼滅の刃 不死川実弥】

第5章 大変だ、飯がない!







「お待たせしましたー!」


俺らの注文した甘味を盆に乗せ、葉月がいそいそとやって来た。
勿論1人でなんか運び切れる量ではなく。
他にまわっていた女給も数名急遽手伝いに来たようだ。


「これで全部?」
「ひいふうみい…あ、待って!ひとつ足りない!」
「どれかしら?」
「これとこれはあるから…、これが無いわ!」
「私持って来る!」


バタバタと忙しく行ったり来たりを繰り返す葉月たち。
そんな様子を見て、こんなに頼んで申し訳ないと思ってしまった。
いや頼んだのは俺じゃねェんだがなァ…

全てが揃った所で、手伝いに来ていた他の女給達はそれぞれの持ち場へと戻って行った。


「ごゆっくりどうぞ」


にこやかにそう言うと、葉月も他の作業があるため一旦ここを離れていった。

残された俺らの席には俺の頼んだわらび餅と、煉獄のいもようかん10皿。
通路を挟んだ隣の席には、甘露寺の頼んだ団子に桜餅、あんみつとその他諸々…。
ここ一帯が甘味でぎっしり埋め尽くされていた。


「うまい!」

「おいしい!幸せぇー!」


そんな数え切れないほどの甘味達も、師弟揃って大喰らいのこの2人には大した量では無いのだろう。
あれよあれよと言う間に大量の甘味が2人の腹ん中におさまっていく。
見ているだけで、胸焼けしそうだ。

そんな2人の食べっぷりを、伊黒は微笑ましそうに眺めていた。
…いや、見てんのは甘露寺だけだな、コイツは。


「うまい!」

「よかったなァ」

「うまい!」

「おー」

「うまい!」

「…」

「わっしょい!」

「やかましいわァ!」


黙って食えェ!
つぅかわっしょいってなんだァ!

喧しいうまいにイライラさせられながら、ろくに味わうことも出来ず俺がわらび餅を食べ終えるのとほぼ同時、机にぎっちり埋め尽くされていたあの甘味達は綺麗さっぱり消えていた。

早ェなオイ…




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