第5章 大変だ、飯がない!
「そうか!それは君の知り合いか?」
「はい、私のお友達です!いつもにこにこ明るくて、ご飯を幸せそうに食べる素直で可愛らしい女の子です!」
「なるほど!その女性も食べる事が大好きなのだな!俺と気が合いそうだ!」
「はい!煉獄さんならきっと仲良しになれると思います!」
葉月は拳を握り、力強く頷いてみせた。
「それは是非とも会ってみたいものだ!因みに俺の知り合いにもよく食べる者がいてな」
「そうなんですか!お友達ですか?」
「俺の継子…弟子のようなものだな。よく食べる元気な女性だ。君と歳が近そうだ!会えばきっと仲良くなれるだろう!」
「本当ですか?是非お会いしてみたいです!」
この二人、まるで別々の人物の話をしているように聞こえるが…
俺には分かる。
同じ奴だろォ。
だがこうして聞いていると、同一人物なはずなのに、まるでそれぞれ別の人物として存在しているかのように思えてくるから不思議だ。
教えてやってもいいが…、黙ってた方が面白そうだな。
と考えた俺は、桃色お下げのアイツを思い浮かべながら、一向に同じ人物へ辿り着かない二人の会話を面白おかしく聞いていた。
「では、今度一緒に連れて来よう!因みに名前は…「あぁあーーー!煉獄さぁああーーーん‼︎」
噂をすればなんとやら。
突如、煉獄を呼ぶ大声が飛んで来た方へ皆揃って振り向けば。
たった今、二人が語り合っていた人物が目の前へと現れたのだ。
「甘露寺か!前回の柱合会議以来だな。元気そうで何よりだ!」
「えぇ、とっても元気ですよぉ!煉獄さんも、いつも通りお元気そうで良かったです!」
甘露寺は、偶然煉獄に会えた事を大いに喜んでいた。
それを甘露寺の背後から、心底面白くなさそうに見ている男が1人…。
「伊黒も来ていたのか!」
名前を呼ばれた伊黒は、蛇のような鋭い目付きでギロリと煉獄を睨み付けた。