第20章 LOVE×中毒
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黒死牟「そうか…」
まゆ「うん…」
私の言わんとしている事が分かったのか、巌勝さんは気不味そうに黙ってしまった
まゆ「私の同期はね、隠になった子を除いて皆逝ってしまったの。半年前に最後の子がね…。私、間に合わなかったんだ。応援によばれて…復活(リザレクション)掛けたけど時間が経ち過ぎてて駄目だった………私は何も役に立ってない…」
黒死牟「そんな事は断じてない!!」
まゆ「巌勝さん…」
黒死牟「まゆは持てる力を全て使い、沢山の人々を救ってきたのだろう?『手が届く範囲でしか救えない、でも強くなれば…その範囲を広げる事は出来る』と、お前が言っていたのではないか。もっと速く走れ、もっと強くなれ!魔力を有効に使えば更に範囲は広がる…」
あぁ、そうだ…私が言ったんだわ。だから記憶も魔力も持ってきたのに有効に使えてないのは、私が使いどころを誤ってたりするから…
まゆ「巌勝さん、稽古をもっと厳しくしてください。魔力の使いどころについては、一ノ瀬に相談してみるわね…」
黒死牟「それが最善だろう。まゆが望むなら幾らでも協力するから…泣くな…私はお前に泣かれると…どうしたら良いか分からなくなる…」
巌勝さんはそう言うと、いつの間にか涙を流していた私の目尻に口付けを落とした
黒死牟「愛してる。私が、ずっと傍に居る故…一人で抱え込むな…」
まゆ「ありがとう…」
私がソッと目を瞑ったり、唇と唇が触れ合うという直前…
鷹男「伝令!コノママ西ニ迎エ!富岡ガ危ナイ!」
まゆ「義勇が!?グラウ、鬼と義勇の気配を探って空間移動よ!皆グラウに掴まって」
グラウなら、遠くの鬼の気配と知っている気配なら追えるの。入隊当時から随分助けられてきたわ
巌勝「無事だと良いが…」
頼むから間に合え!
空間移動で現場の手前に来てみると、義勇が鬼と交戦中だった。肩から血を流している。私が日輪刀を抜きながら走ると、横から巌勝さんが飛び出して行った
まゆ「義勇!!」
私は咄嗟に義勇を抱き抱えて後ろに下がり、回復(リカバリィ)を掛けていく。手遅れになんて、させるもんですか!!
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