第18章 三度目の正直
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まゆ「これは千年前の話よ。鬼舞辻無惨の父親は産屋敷家当主の弟で母親は鬼道家の三女。だけど産屋敷を名乗りたくなかった無惨の父親は、お嫁さん側の鬼道から一字とって名字を鬼舞辻とした。産屋敷家当主と無惨の父の妹は一ノ瀬家に嫁いだの…」
黒死牟「一ノ瀬殿は鬼舞辻無惨と従兄弟…」
まゆ「そうよ。顔が何となく似てるでしょ?」
縁壱「それは前から気になってはいたが、まさか従兄弟とは…」
この話は一ノ瀬から私が言うように、前々から言われていたのよね。いつ言おうか迷ってたけど今がタイミングだと思う
まゆ「人喰い鬼の始祖を出してしまった鬼舞辻家ではなく、産屋敷家に呪が掛かってるのは何故だと思う?」
黒死牟「わからぬ…」
縁壱「心霊の類はわからぬ故、検討がつかない…」
実は簡単な話なのよ
まゆ「呪は鬼舞辻無惨が殺した医者の家系が施したもの。それは怨むわよね、病気を治そうとして薬を与えて殺されたんだもの」
黒死牟「それはそうだろう。家族としては堪ったものではない」
縁壱「私とて鬼舞辻を呪えるなら呪ってやりたい…」
鬼舞辻無惨を呪う…か。それも有りなんだけどね…
まゆ「そうよね。でね、一ノ瀬家にも呪は掛かっていない。医者の家族は呪の儀式をして呪を掛けた。これは推測ではなく浄玻璃鏡で見たんだけど、力ある術師に頼まずに自分達で産屋敷、鬼舞辻、一ノ瀬に的を絞って呪ったみたいね。でもね、所詮素人仕事だった…ここまでは良い?」
縁壱「あぁ…」
巌勝さんはコクリと頷いた
まゆ「共通点は鬼道家も一ノ瀬家も、代々陰陽師の家系で霊能において非常に優れていたの」
黒死牟「故に、一ノ瀬家と鬼舞辻家には掛からなかったと?」
それだけではないのよね…
まゆ「うーん…家系もそうだけど、一番大きな要素は個体かしらね…一ノ瀬も無惨も無意識か何なのか跳ね返したのよ。無惨は鬼だし霊力的にも強いわね。一ノ瀬は最も霊能が栄えた時代の、一流の陰陽師の中でも霊力が頭一つ抜けてるから」
霊能六家である一ノ瀬家の者で、陰陽寮の頭にまでなった男。素人が何とか出来る相手ではないわよ。他の陰陽師ですら先ず無理ね
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