第2章 季節が変えるのは
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巌勝は「わかった」とは言わない、わかりたくないのだ。あれ程拘ってた家と親を捨てる覚悟を決められる程に愛した女。別れたくなどないのだから
まゆ「うん…私も巌勝さんを愛してる。きっと生まれ変わっても」
巌勝「あぁ…忘れないまゆとの幸せな日々を…」
巌勝とまゆは互いを確かめあうように無言で見つめ合う。暫くするとまゆが話し始めた
まゆ「私も後ニ年か三年したら縁談が来ると思う」
巌勝「あぁ…」
まゆ「結婚したら子供を産まねばなりません。きっとその人と嫌でも交わる事になる」
巌勝「っ…………」
巌勝はまゆを複雑な表情で抱き寄せた
そしてまゆは言う…
まゆ「初めてって痛いって言うよね。同じ痛いなら好きな殿方に与えられたい。私、おめかししてきたの…巌勝さん、最後の我儘だから…お願い」
巌勝「…!?」
まゆの表情と台詞に察しが付き、痛くて堪らない巌勝の胸を更に締め付ける
まゆ「巌勝さんの手で、どうか私を女にしてください」
まゆは美しく儚くそして強い、覚悟を決めた女の顔をしていた。巌勝に迷いは無い、愛する女が望む事なのだから
巌勝「わかった。いつもの部屋に行こう…」
まゆ「うん」
巌勝はまゆをいつもの様に姫抱きにすると、当然の様にまゆも巌勝の首に腕を回した。継国家の廊下を突き進み、お互いに泣きそうになりながらも堪えている
巌勝「後悔はないな?」
まゆ「はい、抱いてください」
巌勝は部屋に着くなりまゆを優しく抱き寄せ、ついばむ様な口付けをしながら布団に倒れ込む
まゆ「んっ、ふっ…」
まゆは段々激しくなる接吻に自分の身体が熱くなるのを感じた。最後までするのは怖くはない、まゆは愛した男の手で『女』になるのだから
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