第2章 季節が変えるのは
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まゆ「楽しかったです!日が暮れて来ましたから帰りましょう、夕餉の時間になってしまいますよ♪」
巌勝「そうだな」
行きと同じ様に巌勝がまゆの肩を抱き歩き出した。御影家の門前に着くと、どちら共なく抱き合い接吻をする
チチュッ
長い長い接吻が終わりまゆが巌勝から離れようとする。巌勝は少し寂しさを感じたが『また後で会える、明日も』と思いまゆを離してやる
まゆ「ありがとうございました!今夜も待ってますから!(幸せが終わってしまう…)」
巌勝「あぁ…夕餉を食べたら行く」
まゆは「はい、待ってます」と言い家へ入っていった。まゆは母の所に行くなり、とあるお願いをした
まゆ「母上、お願いがあります」
百合「なぁにまゆちゃん」
まゆは昔から甘えん坊で、百合にこの様な言葉遣いをした事がない
まゆ「父上から話は聞いておられると思います。どうか私を綺麗にして頂けませんか?」
百合「えぇ、とびっきりのいい女になりましょうね。先にお風呂に行って夕餉を食べなさい。準備はしておきますから(いつの間にか女の子から女の顔になったわね…まゆ頑張りなさい)」
百合も息子達と同様に政孝から話を聞いていた為、まゆの言葉を聞いた瞬間に察した。今夜、娘は好きな男に抱かれに行くのだと
百合の手により髪の毛を整えられ化粧を施されたまゆは、いつもより愛らしく綺麗だった。年齢より少し大人びた表情が一層引き立てた
まゆ「母上、行ってまいります」
百合は何も言わずまゆを抱きしめた。可愛い娘が傷ついているのに何もしてやれない自分に腹が立つ
百合は「まゆ、綺麗よ…行ってらっしゃい」と、優しく背中を押した
いつもの場所に行くと既に巌勝は待っている
巌勝「まゆ、二人で家を出て遠い所で暮らそう」
巌勝はまゆを見るなり強く抱きしめ、苦しそうに言う。まゆの胸が締め付けられ、一瞬息が止まった
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