第2章 季節が変えるのは
・
何時もは手を繋ぎ腕を絡ませて歩くのだが、今日は最後だからと巌勝に頼んだ
巌勝「あぁ、こうか?」
まゆ「はい!我儘ですみません。でもどうしてもしてほしくて♪」
巌勝はまゆの肩に腕を回し包み込み微笑んだ
巌勝「まゆは我儘なんて言っておらん。寧ろもっとしたい事を言ってほしい。コホンっ、実は私もしたかった…」
まゆ「はい!(愛されてるなぁ…でも胸が痛いよ)」
それから二人は他愛のない会話をしつつ歩き出し、うどん屋に行った
巌勝は既に食べ終わり、様子がおかしいと思っていた事も忘れ「美味しい!美味しい!」と、うどんを啜るまゆを優しい顔で見ていた
まゆ「うどん最高!!」
巌勝「ふっ…そうか、連れてきた甲斐があったというもの(何をしてもまゆ可愛いな…)」
その後二人はぶらぶら色々な店を周り逢い引きを楽しんでいた。その中で巌勝は一つの飾り櫛を見つけまゆに贈った
巌勝「まゆに似合うと思って…///」
まゆ「嬉しい…ありがとうございます♪一生大切にしますね♡(貴方からの贈り物…これがあれば生きていけるよ、例え今夜が最後でも。ごめんなさい巌勝さん…)」
ニコリと笑うまゆの目から涙が零れ落ち、巌勝は目を見開いた
巌勝「何故泣くのだ…気に入らなかったか?ならば一緒に選びに行こう」
まゆ「違います、凄く嬉しくて!ごめんなさい、何か…」
巌勝は自分が贈った物が嬉しくて泣いてしまったまゆを、一層愛おしく思う
巌勝「うっ…(愛い、愛いぞぉ!!)付けてやろう」
内心悶えながらもまゆの髪に櫛をつける。その櫛は透明感がある藤色を基調にし、黒で模様が描かれている。その模様は『しのぶずりの乱れ模様」のようなものだ
凛とした美しさの中に激しい熱を持つ。まるで巌勝を思わせる綺麗な櫛だった
まゆ「はい!お願いします♪(心が乱れてどうしようもない…きっと、そんな私にピッタリだ)」
巌勝「綺麗だ。まゆによく似合っておる」
巌勝がそう言い頬を撫でてやると、まゆは微笑みを浮かべた
・