第5章 回りだした歯車が鋭すぎる
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隠された御影兄弟の本音。それは、幼き頃から兄弟のように育った巌勝が大好きであった為に傷付けたくない一心だった。勿論、縁壱も可愛くて仕方がないのだ
竜は自称『巌勝の事は何でもわかる』らしいので、それ程信用していたのだろう。超大好き過ぎて裏切られたと感じて怒っていたのだ。面倒臭い彼女のようである
縁壱「兄上お帰りなさいませ」
まゆ「ほっぺた…殴られたの!?」
巌勝「覚悟の上だと言っただろう。ちゃんと許しはもらってきた故に心配するな」
その後の稽古で全集中の呼吸のコツを掴み習得した。その一週間後に全集中常中を身につけたのだった
巌勝「自分がより強くなっているのを感じる…二人のおかげだ。ありがとう」
縁壱「いえ、兄上が努力をしたからです」
まゆ「巌勝お兄様の剣技はいつ見ても惚れ惚れします♪私なんか皆に雑とか言われますもん…」
まゆは溜め息を吐き唇を尖らせた。巌勝と縁壱は、そんなまゆも可愛くて仕方がない様で二人共に口元が上がっている
巌勝「まゆは豪快で格好良いぞ!」
縁壱「身体が小さい故なのか大振りになりますが、速さで仰せてますからそれがまゆの形なのでしょう」
まゆ「褒めてますかそれ…」
巌勝はそれから数週間後に月の呼吸を編み出したのだった。巌勝としては日の呼吸が良かったのだがまゆの反応が可愛かったので、一応納得はしたらしい
巌勝「やはり私には日の呼吸は出来ないのか…」
まゆ「月の呼吸カッコイイですね!巌勝お兄様らしいっていうか、綺麗で繊細でずっと見ていたい気持ちになります♪」
縁壱「兄上は真に素晴らしいです」
まゆは巌勝の周りをピョンピョンと回っている。最近は志津の事を考えずに巌勝と居られるのだ。どうやら、本来の幸せな脳味噌に戻りつつあるらしい
巌勝「そうか…」
まゆ「二人はまるで月と太陽ですね〜」
縁壱「まゆは上手いことを言う…」
そう言って微笑みながら縁壱がまゆの頭を撫でる。巌勝は少々ムッとしたが、堪えながら二人に提案をした
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