第5章 回りだした歯車が鋭すぎる
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縁壱「まゆ、今日は兄上と寝たらどうだ?(兄上が、こんなに穏やかに笑っておられる。それ程までにまゆを…)」
巌勝「縁壱、それは流石に…」
まゆ「三人で寝ましょう…眠いぃー(きっと今はこれで良い…)」
まゆが思う最善だった。まだ二人きりは流石に駄目だと、本能が危険信号を発している
縁壱「兄上が良いなら私は構わぬ」
巌勝「お言葉に…甘えよう…」
巌勝も了承したので、その日はまゆの部屋で三人で寝たのだった
巌勝「おやすみまゆ、縁壱(今はこれで十分かもしれんな。だが、何れは…)」
巌勝は再びまゆを抱きしめて眠れる事を嬉しく思い、満足し
縁壱「おやすみなさい(まゆが愛おしくて愛おしくて仕方がない、だが私などより兄上の方が幸せに出来るのだ。今まで通り甘えてくれたらそれで良い。見守ろう、愛する女と敬愛する兄上が幸せになるように…)
」
縁壱は忍ぶ恋を選び
まゆ「おやすみなさい。二人に挟まれて暖かいです(私はどっちが好きなんだろうか。他の人じゃ嫌だけど、巌勝さんと縁壱お兄様なら嫌じゃない…)」
まゆは自分の中で答えが出せず
三人三様の想いを秘めて眠りについた
まゆは、二人に挟まれて寝ているからか、内心は複雑ながらも幸せな顔(アホ面ともいう)で眠りについた
目覚めたら自分の隣には愛する女が居る事を自分がこの四年間でどれだけ待ち望み、どれだけ切望したのかを、巌勝は寝起きの回らない頭で考える
本音は自分しか見えないように、今すぐに唇を奪ってしまいたい衝動に駆られるが、焦りは禁物と言い聞かせ頭を切り替えた
縁壱「おはようございます、兄上」
まゆの寝顔を見ていると幸な気分になり、どうしても頬が緩んでしまう。緩みきった顔で見ていると、縁壱に声をかけられた
巌勝「…おはよう(どっから起きていたのだ、ビックリするではないか!)」
縁壱「ふふっ、兄上が幸せそうで何よりです」
縁壱はまゆの寝顔を幸せそうに眺めている兄に、思わず微笑んだ。まゆを愛する一人の男としては複雑だが、兄の事は敬愛しているからか、本当に微笑ましく思っている
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