第5章 回りだした歯車が鋭すぎる
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縁壱「これが、まゆの男に靡かない理由です。鬼殺隊に入ったのは家系だからと言っていましたが、私はこれも理由かと。男性の妻には随分意地悪をされたようで、家に居たくなかったとも言っておりましたから…兄上どうされたのですか、顔色が」
巌勝「いや、続けてくれ(巫山戯おって。やはりあの時無理にでも連れ出すべきだったのだ!)」
巌勝は元妻のみならず自分にも腹が立てていた。あの時、引かなければ良かったと。同時に、別れても同じ気持ちだった事が嬉しく鼓動が早くなる
縁壱「男性とその妻が幸せそうにしているのを見てしまい、裏切られたと感じたそうです。自分だけが今でも愛しているのだと…」
巌勝「それはまゆの勘違いだ!!」
巌勝は感情が昂り思わず叫んでしまい、慌てて口を噤むが遅かった
縁壱「兄上…?」
巌勝「……縁壱、その男が私だと言ったらどうする」
縁壱は戸惑いを見せる。自分が好いた女の元恋中の男が自分の敬愛する兄だったのだから当然だった
縁壱「っ…兄上、それは真なのですか?(あぁ、そうか…兄上だったのか…まゆは、ずっと兄上を…)」
巌勝「あぁ、私だ」
一度口から出てしまえば抑えが効かなくなり、巌勝はまゆへの想いを吐き出した
巌勝「私はまゆをずっとずっと愛している。妻と居ようが子が産まれようが片時も忘れた事は無い!!故に勘違いなのだ!!」
縁壱「夫婦仲が良いところを見たと…」
縁壱には分からなかった。まゆは見てしまったからこそ、打ちのめされ皆の前で泣く程に傷付いたのだ
巌勝「言い訳がましいようだが、そういう時は大体が御影の屋敷からまゆの声が聴こえてきたり、見かけたりと私の気分が良い時…決して忘れたわけでは無い」
縁壱「そうだったのですか…(まゆは…兄上と顔が酷似している私と居て辛かったかもしれぬ…)」
巌勝「他の者には秘密だ。良いな縁壱」
縁壱「はい…言えばまゆが傷つくでしょう…これ以上傷付いてほしくありませぬ」
巌勝「感謝する(縁壱もまゆを好いているのだな…しかし、必ずやまゆとの未来を手に入れてやる!)」
巌勝と縁壱は本部で報告をし屋敷に帰っていった
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