第5章 回りだした歯車が鋭すぎる
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巌勝は「多分…」と付け加えたが、縁壱以外には通用しないだろう。縁壱は兄上大好きで、まゆを信用しているからなのか、過去を知っているからか、男とどうこうは無いと思っている
巌勝「まぁな、だからこそ言っている」
縁壱「織田殿は大丈夫ですよ。まゆ自身も何も無いと言っていますから」
巌勝「かなりの美丈夫だと聞く。まゆがその気になるやもしれぬぞ。男と女、酒を飲んで事を致すなどよくある話だ。織田信長も男だ、連れ込み宿に連れ込まれたら抵抗もままならぬ」
縁壱「まゆは大丈夫です。織田殿もそのような男ではないし、仮にそうでも逃げられます。鬼殺隊準日柱という地位は伊達ではありませぬ」
巌勝「その気になったらどうするのだ私は嫌だぞ。可愛いまゆが男に抱かれるなど(忌々しい!!)」
縁壱「おそらくまゆがその気になる事もないでしょう」
縁壱はまゆの過去を知っている者の一人、それなりの根拠があるから言い切るのだ
巌勝「何故言い切れる。大体がこのような男ばかりの場所に居るのも解せない」
縁壱「本当はまゆから聞いたほうが良いかと思いますが、柱は皆知っているので問題はないでしょう。兄上はもしかしたら知っておられるかもしれませんが…あっ、着きましたから後で話します」
縁壱「分かった。さっさと片付けて続きを」
任務の場所に着き、鬼が出たと同時に任務は完了。帰り道、縁壱はまゆの過去を、ぽつぽつと話し始める。縁壱が少し辛そうな顔をしているのはまゆの事を想う一人の男としてだろう
縁壱「兄上お待たせ致しました。続きを…まゆには恋仲の男性が居たそうです。その男性は…」
縁壱が巌勝に話した内容はまゆには恋仲の男がいて家の事情で別れた事。別れてもお互い思い合うと約束したが、娶った女と幸せそうにしていたのを見てしまい、それ故自分は忘れられた事。そして、自分だけが相手を好きなのだと思い知った事だ
縁壱は、自分達に過去を話してくれた時のまゆの涙を見た時『自分が忘れさせてやれるなら』と思い、一層のこと気持ちが膨らんだのだった
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