第5章 回りだした歯車が鋭すぎる
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『焼けぼっくいに火がつく』とはこの事だろうか、とまゆは半分諦め気味になっていた。ヤケクソとも言うが…
縁壱「織田殿か?あまり遅くなるでないぞ」
縁壱はこの二年で信長の事は信用していた。三人で飲む事もある。その中で信長はまゆを同性の友人、又は侍として扱うのを見ているので嬉しくもあるのだ
まゆ「はい!では、行って参ります。お兄様方、ご武運を!」
まゆはスキップ走りであり得ない速度で本部から出ていった。それはもうスキップではないと、目撃した隊士は語る
巌勝「縁壱、織田殿とは?」
縁壱「まゆの友人です」
巌勝と縁壱は任務の場所へ移動しつつ話をしている
巌勝「ほぅ、男か?」
縁壱「はい、織田信長という侍でして、まゆを侍として扱ってくれる方です(兄上は怒ってらっしゃるのか?まゆが心配なのだな…)」
巌勝は自分の顔が険しくなっていくのを取り繕う事もなく、縁壱に信長の事を聞いている。しかし縁壱は巌勝がまゆに恋情を抱いているだなど露ほどにも思ってはいない
巌勝「信長…織田家のご子息ではないか。縁壱、何故にまゆと友人なのだ」
縁壱「まゆは入隊前に任務へ借り出されておりまして、その時に知り合ったそうです」
縁壱はまゆが入隊するきっかけとなった、遊里の任務の事を話していった
巌勝「遊里だと!買われて抱かれてなどいないだろうな(まゆを抱いて良いのは私だけだ。この先もずっと)」
縁壱「はい、ギリギリのところで鬼が動き出したので買われずに済みました。水揚げを目の前に織田殿が何もしないがまゆを一日買うと言ってくれたようです」
巌勝はその話を聞き少しホッとしたような顔をしたが二人で飲みに行くのは別問題だった
巌勝「しかし縁壱よ、年頃の女子が男と二人きりで飲みに行くのはどうかと思うのだが。まゆは可愛い上に酒を飲むと甘え上手で、男の理性など簡単にブチ壊すのだぞ!多分…(兎に角アレはヤバイ…)」
縁壱「確かに酔ったまゆは反則的に可愛いですね。兄上はまゆと酒を飲んだ事が有るのですか?」
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