第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
石造りの橋を手を繋ぎ歩いていると、前方からやってきた親子の父親の方が視線を晴代に移した。
そして、思い出したように「あっ!」と大きな声を出したので、驚いた夢乃達はその場に立ち止まった。
「もしかして晴ちゃんか!?」
「……桜庭のおじちゃん!やだ、久しぶりやねぇ」
どうやら知り合いだったようで、二人は懐かしそうに会話をはじめた。
「前に会ったときは子供だったのになぁ…すっかり大人になっちまって、人の子は成長が早ぇなぁ!」
「ふふふ。おじちゃんは相変わらずやね……その子はおじちゃんの子?」
晴代は桜庭が連れている男の子に目をやると訊ねた。
すると子供の背を軽く小突くと前へ出す。
「あぁ。コイツは惇吾っつって、身寄りがねぇから俺が引き取ったんだ」
「まぁ、可愛ええ子やないですか。最初は本当の親子かと思いましたよ。年はいくつ?」
「……十一」
晴代の問いかけに、少年は少し恥ずかしそうに答えた。
「なら、夢乃お嬢様とは三つ違いですね!」
「う、うん…………」
晴代の声掛けに、夢乃は微かに返事をすると視線を泳がせた。