第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
それから夢乃は以前よりも雨宮家の人々と、あまり関わらないようにした。
自分を引き取ってきれた叔父や叔母はもちろん、たまに来る親戚達も皆、夢乃と夢乃の母親をよく思ってない様子に思えた。
自分は雨宮家にとって邪魔な存在なのかもしれない。とふさぎ込んでしまった夢乃を、唯一気にかけてくれたのは女中の晴代だった。
いつも零一に連れられて部屋に篭ってばかりの夢乃を気遣い、零一が家を留守にしている隙を見て晴代は夢乃を買い物へ行こうと街へ連れ出した。
最初は遠慮がちに歩いていた夢乃だったが、人の多い参道を歩いていると次第に心が弾んでくる。
「夢乃お嬢様。迷子になりますから手を繋ましょうか」
「あ……はい」
差し出された晴代の手を恐る恐る握ると、柔らかな感触が掌を包んだ。
夢乃の母親も生きていれば、丁度晴代と同じくらいの歳になっている。
(お母さんと手を繋ぐって、こんな感じなのかな……)
そう思うと気恥しいけど、体がポカポカしてくる。
夢乃の顔色が良くなってきたのにほっとしたのか、晴代の顔からも笑みが零れた。