第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
「せやから、売女って言うのもあながち間違ってへんのよ。男に媚び売ってお金もろてたんやからなぁ」
その言葉に、夢乃は今にも泣きそうになる。
母との記憶はもうほとんど無い、零一の話が本当かどうかも分からない。
けれど、義兄の言葉はあまりにも残酷で目を見開いたまま、凍ったように動けなくなってしまった。
「わ、わたしも……お母さんみたいに、なる…?」
ようやく言えたのはその一言だった。
「ばいたの子は、ばいたになるって……そんなのやだ。やだよぉ…」
自分自身の言葉に追い詰められたように、ポロポロと涙を流した。
泣き出す妹を、零一は静かに見つめてそっと後ろから抱き締めた。
「そんなことで泣くなんて、夢乃はほんま可愛ええなぁ。心配せんでも売女になんかならへんから安心しぃ」
「……ほんと?」
「ほんまほんま。夢乃はずっとお兄ちゃんと一緒におるやろ?他の男とこなんか行く必要ないやん、な?」
「…………う、うん」
零一はぎゅっと夢乃を強く抱き締めた。
柔らかな髪に顔を埋めて、深く息を吸い込む。
夢乃は自分が売女にはならないと安心したものの、モヤモヤとしたなんとも言えない不安な気持ちだけが残った。