第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
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「零一お兄ちゃん、ばいたって何?」
夕飯を食べた後、零一の部屋で花の図鑑を見ていると、いつの日か意地悪な子供に言われた言葉が頭に浮かんだ。
頭のいい義兄なら知っているはずと聞いてみれば、零一は机から顔を上げて夢乃をジッと見つめた。
「誰かからそう言われたん?」
「……前に男の子から、わたしのお母さんはばいただって」
「ひどいこと言うなぁ……ほんまに教えて欲しいん?」
コクっと頷くと、零一は少し笑って答えた。
「まぁ簡単に言えば、男に身体を売る女のことや」
「…からだを売るって、どうするの?」
「お金を貰って、男にエッチなことさせて喜ばせるってこと…意味、分かる?」
夢乃はドキッとして息を呑んだ。
〝エッチなこと〟その意味が深くは分からなくても朧げながらには理解しはじめている。
「夢乃のお母さんは馬鹿な男との間にお前を作ってしもてなぁ。駆け落ちしたんやけど一年くらいで男に捨てられたんやと。それで夢乃を育てる為に一生懸命、夜の仕事をしてたらしいで」
零一はそう話しながら黙り込んでしまった夢乃の顔を覗き込んで、首を傾げてからかうような目付きをした。