第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
「ほな、帰ろか」
夢乃の手を引いて、二人は歩き出す。
この三年間で義兄以外の誰かとまともに話したことがない。
もし自分に友達がいたら、今日みたいにいじめられることも、零一の手を煩わせることもなかったのかもしれない。
そんなことをが頭をよぎって、つい口から溢れてしまった。
「零一お兄ちゃん……どうやったらお友達ってできるの?」
「は?友達?」
零一が急に不機嫌な顔をする。
「夢乃に友達なんか必要ないやろ?遊び相手ならお兄ちゃんがいてるし、またいじめられたら助けたるから、な」
「でも……」
「いらん言うてるやろ。ここらの子供なんてろくな教育受けてへんし問題起こして父さんに迷惑かけたら家から追い出されるで」
「っ………ご、ごめんなさい」
零一を怒らせてしまい咄嗟に謝ると、頭にふわりと優しい手が降ってきた。
下を向く私の髪をよしよしと撫でる。
「分かればええんよ。それに僕の言うことさえ聞いてれば追い出されることなんかないで、夢乃は寂しがり屋やから一人は嫌やろ?」
「うん………」
それから零一は頻繁に夢乃と帰るようになり、家の中でも常に夢乃をそばに置くようになった。
そして、休日など夢乃が外へと遊びに出ようとしたら、自分の部屋へと引き入れてなかなか出してくれなくなってしまったのである。