第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
夢乃が京都に来てからの三年間、零一は夢乃に優しくしてくれた。
叔父や叔母よりもずっと、異常なまでに。
義理の兄に優しされるのは嬉しい、だけどたまに変な違和感を感じるようになった。
たとえば、家にいるときも夢乃を遊びに誘っては、膝の上に抱いて「夢乃は可愛いなぁ。ほんま可愛い」と言って髪や頬を撫でる。
側から見れば仲睦まじい光景だが、夢乃は内心、言い知れぬ恐怖を感じていた。
零一のその穏やかな声、優しい指先、美しい瞳から全てを飲み込まれるような感覚。
逆らってはいけない。逃げてはいけない。と本能を支配する。
今だって、そう。
「はい。綺麗になったで、痛くないやろ?」
「うん……ありがとう」
零一の指先に付いた黒い砂利を見て、どこかおかしいと思いながらも夢乃は礼を言った。