第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
すると……
「僕の妹になにしてんの?」
凛と澄んだ声が、その場に響いた。
子供らがギョッとする中、冷静な様子で立っていたのは学校帰りに偶然通りかかった零一だった。
「なぁ、夢乃に何してるんか聞いてんねんけど」
誰も答えないのを見兼ねて、零一が再び訊ねる。
「こ、こいつがオ、オレを無視するから……」
「せやから突き飛ばしたん?自分よりも年下の女の子やのに」
「か、軽く押しただけや!けど、こいつが大袈裟に転んで……」
「へぇ。乱暴した上に妹のせいにするん?えらい男らしくないなぁ」
穏やかな口調こそ変わらなかったが、空気がサァァッと張り詰めたのが分かった。
「………っ、あ、謝ればええんやろ!悪かったな!」
「…やって、夢乃どうする?許してあげるん?」
零一が振り返って聞くと、夢乃は黙ったままコクンっと静かに頷いた。
「よかったなぁ。許してくれるんやて、僕の妹優しいやろ?…もう二度といじめんといてな」
男の子は面食らった様子で、返事できずにいると。
「せやから……夢乃に近づくなぁ言うてんの」
急に冷酷な声音で詰めよられ、反抗的だった顔が今にも泣きそうになる。
「ひっ………くそっ、お前なんかもう知らねーよ!」
と、ぶっきらぼうに吐き捨てて、その場から走り去って行った。