第3章 ♡そこは狂った愛の底♡ ※ヤンデレ
月日は経ち、夢乃は八歳になった。
その頃にはもう京都の暮らしに馴染みつつはあったが、本来の気質よりもなおさら大人しくなってしまった夢乃はあまり友達も作れず学校からの帰りも一人で歩くことが多かった。
今日もトボトボと帰路についていると……
「おーい、もらわれっ子!」
と、乱暴に声をかけられて顔を上げる。
そこには問題児と呼ばれているガキ大将とその取り巻きがいて、一つ下の夢乃をニヤニヤと見下ろしていた。
雨宮家はこの辺りでも有名な分限なので、夢乃が雨宮家の養子に入ったことは近所中に知れ渡っていた。
「なぁお前って、駆け落ちしてできた子ってほんま?」
「え………」
男の子をジッと見つめた。
すると、ガキ大将はなぜかカッと顔を赤くして、誤魔化すように声を荒げた。
「悪い男と駆け落ちして家出したって、オレのかーちゃんが言いよったで!お前は売女の子なんやて!」
「……ばいた、って?」
小首を傾げる夢乃を無視して、馬鹿にしたような笑い声をたてながらガキ大将達はどこかへ行ってしまった。
遠くの方から、売女の子は売女になるんやー、という声が聞こえてくる。