第2章 ♡アラブの王様に飼われるお話♡
ライールのベッドの横には大きなクッションがいくつも置かれており、そこに降ろされた夢乃はフワフワな羽毛布団をかけられる。
「外に、いくの……?」
「ああ。私の兄も亜種を飼っててな。夢乃を一目みたいらしい。私が初めて亜種を飼ったものだから、気になっているんだよ」
そう言って、夢乃の頭を撫でると『いい子でおやすみ』と呟いてライールはベッドの灯りを落とした。
(ライール様…優しい……あったかい)
ライールに拾われてから、はじめてのことがたくさん起こった。
亜種と言われて、ペットのように可愛がられる。
戸惑うこともあるけれど、ここに居たい、ライールと一緒にいると安心だと心の底から思う。
けれど未だに、ライールに出会った日の以前の記憶は思い出せないままだった。