第2章 ♡アラブの王様に飼われるお話♡
「嫌なのは分かるが、首輪がないとまた砂漠で迷子になってしまうぞ?」
そう、ライールの宮殿は都市の中に存在するが、砂漠も近い。
果てのない砂漠ではないが、それでもまだ知能が未熟な夢乃が迷えば帰っては来れないだろう。
泣きそうになりながらも反論できずに押し黙る夢乃を、ライールはクスリと笑いながら自身の膝に乗せる。
すると後から部屋に入ってきた使用人達が、金細工の施された盆を手にライールの前に並び差し出した。
そこにはいくつもの首輪が乗せられており、その全てに小さな鈴が付いている。
ライールが首輪を手に取るたびにリンと小さく鳴り響いた。