第2章 ♡アラブの王様に飼われるお話♡
「カイン。夢乃に似合いそうな首輪をいくつか見繕ってくれ。迷子にならないように鈴の付いた首輪がいい」
首輪という言葉にビクッと肩を震わせる。
家畜として扱われる、そんな恐怖だった。
怯えているのに気付いたライール様が、宥めるように私の頭から生える耳をスリスリと指で撫でる。
「怖がらなくていい。私はいじめるのは好きじゃないんだ。代わりに私なしではいられない程に愛してあげるからね」
その言葉にパァっ気分が上がって、嬉しすぎてどうしていいのか分からなくなった私は思わず、ライール様の手の指をカリッと噛んでしまった。
「お前!何を!」
「いいんだ、甘えているのだろう。夢乃がどんなに噛もうとも私は怒ったりしないよ。お前は私の可愛い子猫なのだから」
噛んでしまった私を許してくれて、慌てて口を放すと血は出ていないものの歯型が残ってしまっていた。
ごめんなさい……の意味を込めて、チロチロと舌で舐めるとライール様はニコリと笑った。
「夢乃はいい子だね」
その言葉と瞳は、やっぱりどこまでも、優しかった。