第1章 ♡うちの姪がビッチすぎて困る♡ 完
◇◇◇
夢乃がうちにやって来たのは、五年前のことだ。
ある朝ドアを開けたら、そこに立っていた。
いや、ホントに。
「えーっと……どちらさん?」
「夢乃です」
いや、誰?
その時の夢乃はセーラー服を着ていた。
なので俺は、この子はここのマンションの誰かの知り合いで、きっと部屋を間違えたのだろうと思った。
「あー…部屋間違えてるよ」
「いいえ、合ってますよ。私、加賀美涼香の娘です!」
そこまで言われて、少女の顔に妹の面影があることに気付いた。
夢乃が差し出してきた封筒の中には、俺の数年分くらいの年収が書かれた小切手と一枚の便箋。
開いて見ると【お兄ちゃんへ 夢乃をよろしくね♡】と一言添えられていただけだった。
嫁が残すメモかよ。嫁いねーけど。