第2章 ♡アラブの王様に飼われるお話♡
「亜種がライール様を見下ろすなど頭が高い」
怒ったようにカイン様が言う。
(ひぃ、……この人、こわい…………)
顔は綺麗だけれど、冷徹な態度がどうも苦手だ。
倒れ込むように膝をついたからか、すぐ近くにライール様の顔がある。
褐色肌に美しい瞳を持つ、美丈夫だ。
「これはまた妖精のようだ。これほどに美しければ愛でて止まないだろうに、砂漠に捨てられるなどお前は一体なにをしたのだろうね」
ん?と片眉を上げて、顔の下に手を添えるライール様を見上げることしか出来ない。
ライール様が何を言っているのか言葉は分かるけど、その意味を理解できないでいたからだ。
何をしたと聞かれても、何も自分の中に残っていないのだからうまく答えられない。