第2章 ♡アラブの王様に飼われるお話♡
身なりが整うと、先程の男に連れられて部屋を出る。
宮殿というだけあって廊下も広々としており、隅から隅まで磨き上げられている。
男の後を付いていくままに奥の部屋へと入ると、そこもまた視界に入り切らないくらいの空間が広がっていた。
クッション柄敷きつめられた場所にゆったりと座る男は、ここまで出会ってきた人達よりも豪華な装飾と上質な衣を纏っている。
あの方が、私を救ってくれた……
「ライール様。亜種の娘を連れて参りました。どうやら記憶を失っているらしく名前も覚えていないようです。それと、言葉も満足に話せません」
傍らにいる男がそう言う。
やっぱり、目の前の人こそがライール様なのだ。
「そうか。ご苦労だったねカイン。さぁ、こちらへ来なさい」
男の名前はカイン様というのか、そう頭で思っていると背中をトンと押された。
「何をしている。ボーッとしてないでライール様の元へ行け」
催促されておずおずとライール様の元へと足を進める。
すぐ傍まで来た時、肩を押されて床に膝を付いてしまった。