第1章 ♡うちの姪がビッチすぎて困る♡ 完
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「どうしたらいいんだよ」
会社での昼休み、缶コーヒー片手に声を潜めて訴えた。
「いやー俺に言わても」
隣からは蒔田の呑気な声が返ってくる。
「お前がウチに来て以来、夢乃の様子がおかしいんだよ。なんか吹き込んだろ」
「まぁ。あれでスイッチ入っちゃった可能性はありますね」
「スイッチってなんだよ」
「……ビッチのスイッチ、かな?」
「はあ?」
怪訝な顔をして首を傾げる俺に、蒔田は空を見上げながら続ける。
「加賀美さんいいなぁ。帰るとあんな可愛い子がエロい格好して誘ってくるんでしょ?最高じゃないっスか」
「姪じゃなければな!お前何けしかけてんだよ」
「俺だったら迷わずしますけどね」
「お前と一緒にすんな」
コイツに相談したの間違いだったかもしれない。
後悔しつつ残りのコーヒーを一気に飲むと、蒔田が呟く。
「加賀美さん、夢乃ちゃんの写メくださいよ。ひとりの時に使うんで」
そう爽やな笑顔を浮かべる部下に、俺は持っていた缶を思いっきり投げつけた。