第8章 二人の少女<参>
戦いの最中、悲鳴嶼は考えていた。
攻撃が速すぎる。こちらの動きをすべて読まれている。
こちらが攻撃動作をする前に、すべて読まれている。そんな感覚を感じていた。
相手は鬼。人を超えた力を持っていても何ら不思議ではない。しかし、鬼は元々人間が変貌したもの。
鬼にできることは、人間にもできるのではないか。と、悲鳴嶼は考えた。
だが、そこまでたどり着くにはあまりにも時間が足りない。隣で戦っている実弥も、気力だけで必死に動いている状態だ。
(如何にかして、この状況を打開しなければ・・・!!)
悲鳴嶼がそう思った瞬間。とつぜん、頭上から爆発音が響いた。
皆が何事かと一瞬、視線を向けた時だった。
――ウタカタ 伍ノ旋律・改
――爆塵砲!!!
頭上から衝撃波の塊が雨の様に降り注ぎ、黒死牟を容赦なく穿った。
しかし彼はそれを容易く薙ぎ払うと、新たに現れた襲撃者に目を細めた。
粉塵が収まり、黒死牟は細めた目を見開く。
そこには、海の底のような真っ青な髪を揺らし、同じくらいの深い青を宿した瞳の少女が、真っ直ぐにこちらを見据えていた。