第7章 二人の少女<弐>
汐が絹と対峙していた、そのころ。
炭治郎と義勇は、猗窩座の底の見えない強さに苦戦を強いられていた。
義勇の刀が戦いの最中にへし折られ、その中でさらに強さを増す猗窩座の技を、凪で相殺することすら難しくなっていた。
しかしそんな中、炭治郎が【透き通る世界】という新たな力に目覚め、闘気を隠した炭治郎が遂に猗窩座の頸に刃を振るった。
これで終わったと二人が思った時、なんと猗窩座は頸を斬ったのに身体が崩れず、そのまま再生しようとしていたのだ。
このままでは無惨のように頸の弱点を克服してしまう。それだけは避けなければならない。
だが炭治郎は体力の限界をとうに超えていたため失神。義勇も立てていることが奇跡と言えるほどの傷を負っていた。
それでも、まだ戦いは終わっていない。何より、ここで炭治郎を死なせたら、汐との約束を破ることになる。
「炭治郎を殺したければ、まず俺を倒せ・・・!!」
義勇は折れた刀を構えそう叫んだ。
左耳は全く聞こえず、右手の感覚はない。それでも義勇は前を見た。託されたものを繋いでいくために。
猗窩座の頭が再生し、義勇に向かって行く中炭治郎は意識を取り戻した。
義勇を守るために刀を振り上げるが、既に握力は殆どなく刀がすっぽ抜けてしまった。
しかし炭治郎は、そのまま猗窩座の顔面に拳を振り下ろした。
それでも猗窩座は止まらない。その体制のまま義勇に向かって、煉獄を倒した滅式を放とうとしていた。
炭治郎はすぐさま動き、義勇の身体を抱えて飛びのいた。
その時だった。