第5章 無限城<参>
汐と義勇が吹き飛ばされた後、炭治郎は一人で猗窩座と対峙していた。
一向に衰えない猛攻に、炭治郎は必死で食らいついていた。
だが、炭治郎は戦いのさなかで煉獄を侮辱され、心に冷たい怒りを宿していた。
猗窩座は弱者を反吐が出る程嫌悪し、弱者は強者に淘汰される。これが自然の摂理だと語った。
しかし炭治郎はその考えを真っ向から否定した。
生まれた時は誰しもが弱く、小さな赤子であり、誰かの助けがなければ生きていくことができない。
それはかつて人間だったであろう、猗窩座も例外ではないはずだ。
「強い者は弱い者を助け守る。そして弱い者は強くなり、自分より弱い者を助け守る。これが自然の摂理だ」
炭治郎の脳裏に浮かぶのは、自分を守り、そして自分が守った者たちの姿。愛する者たちの顔だった。
そんな炭治郎に猗窩座は心の底から嫌悪感を覚え、不愉快だと言わんばかりに猛攻を仕掛けた。