第5章 無限城<参>
「素晴らしい!!」
猗窩座の甲高い声が響き渡ったかと思うと、すぐに腕を再生させ、義勇と炭治郎を吹き飛ばした。
そして汐の斬撃を躱すと、その足を汐の頭に向かって振り上げた。
だが、その一撃は空を切った。汐は身体が真っ二つになりそうなほど大きく身体を逸らし、それを回避した。
そしてそのまま、両足を猗窩座の腕に絡ませると、思い切りへし折った。
「行け!!」
汐の鋭い声と共に、土煙の中から炭治郎と義勇が躍りかかった。
「汐、離れろ!!」
汐が離れると同時に、二本の刀が振り下ろされた。
しかし、猗窩座は両腕を思い切り振り、斬り落とされながらも二人を再び吹き飛ばした。
炭治郎は衝撃のあまり鼻血が吹き出し、義勇の頬にも数かな傷がついていた。
「流麗!!練り上げられた剣技だ。素晴らしい!!」
猗窩座は義勇に目を向けると、容赦のない猛攻を叩き込み始めた。義勇も刀を振るい、その攻撃をいなしていく。
「名を名乗れ。お前の名は何だ!!覚えておきたい!!」
興奮しきっている猗窩座の問いに、義勇は表情を変えずに口を開いた。
「名乗るような名は持ち合わせていない。俺は喋るのが嫌いだから話しかけるな」
「そうか。お前は喋るのが嫌いなのか。俺は喋るのが好きだ。何度でも聞くぞ、お前の名を!!」
猗窩座は義勇の話を全く聞かず、大きく雄たけびを上げると力を貯めた。
(いけない!)
猗窩座の背後に倒れていた汐は起き上がり、すぐさま動き出す。
それと同時に、猗窩座は技を放った。