第5章 無限城<参>
――海の呼吸 陸ノ型
――狂瀾怒濤
汐も負けじと刀を振り、荒れ狂う波のような斬撃が砲弾を全て叩き落し、その一発を猗窩座に向けてはじき返した。
空気の弾が猗窩座の右肩を抉り、血柱を打ち上げる。
「さっきの一発、のし付けて返すわ」
技を撃ち返された猗窩座は、女の隊士がここまで食らいつくことに驚き、そしてさらに気分を高揚させた。
「汐と言ったな!お前が男に生まれてこなかったことが、至極残念で仕方がない」
「ほざいてろ、ボケ!そのよく回る舌を千切りにしてやるわ!!」
汐は大声で挑発しながらも、指文字で炭治郎に動きの指示を出した。それに気づいた炭治郎は、すぐさま義勇と目を合わせて合図をする。
猗窩座は瞬時に汐との距離を詰めると、手を伸ばし首を斬り落とそうと試みた。
――海の呼吸 伍ノ型
――水泡包み
汐は猗窩座の盲点に入り込み、その存在を一瞬だけ消し、猗窩座が怯んだ時を狙って義勇が動いた。
――水の呼吸 弐ノ型
――水車
――ヒノカミ神楽
――炎舞
義勇が猗窩座の右腕を斬り飛ばし、炭治郎が左腕を斬り飛ばし、そして
――海の呼吸 漆ノ型
――鮫牙
汐が死角から入り込み、猗窩座の頸に向かって刃を振るった。