第5章 無限城<参>
二人は身をひるがえし、その攻撃を躱すが衝撃で汐の身体は吹き飛び、壁に叩きつけられた。
「汐!」
炭治郎が叫ぶが、その隙を突き猗窩座が大きく飛び上がり、炭治郎の頭を踏みつけた。
しかしそこには何もなく、土煙がもうもうと上がっているだけだった。
――水の呼吸 参ノ型
――流流舞い
次に動いたのは義勇。無駄のない動きで猗窩座を翻弄し、同時に汐達が身をかわす隙を作った。
「水の柱か。これは良い!遭遇したのは五十年ぶりだ」
猗窩座は興奮したように声を上ずらせると、標的を義勇へ移した。
――破壊殺・乱式
猗窩座は目にも留まらぬ速さで、拳を連続で義勇に打ち込んだ。凄まじい衝撃が広がり、畳が砕け舞い上がる。
――水の呼吸 拾壱ノ型
――凪
しかし義勇の間合いに入った攻撃は全てそれ、周りへと散らばった。
それを見た猗窩座は、更に目を見開き、顔を高揚させた。
「見たことがない技だ。以前殺した水の柱は使わなかった」
猗窩座は雄たけびを上げながら義勇に躍りかかった、その時だった。
――ウタカタ 陸ノ旋律
――重圧歌
汐が歌を歌い、猗窩座の身体を地面に叩きつけ、その上から炭治郎が躍りかかった。
「何だこれは!身体が重くなるとは!!」
しかし猗窩座はすぐさま立ち上がると、炭治郎の一撃を躱し視線を汐に向けた。
――破壊殺・空式
猗窩座は汐に向かって拳を突き出し、空気の砲弾を放った。