第5章 無限城<参>
――ウタカタ 壱ノ旋律
――活力歌!!!
初めに仕掛けたのは汐。歌が響き渡り、炭治郎達の身体を強化する。
だが、間髪入れずに猗窩座が飛び出し、炭治郎に向かって拳を振り上げた。
――ヒノカミ神楽
――火車!!
炭治郎はその攻撃を紙一重で躱すと、その刀を猗窩座のもう一方の腕に向かって振り上げた。
(行け!!行け!!行け!!)
刀が猗窩座の鋼のような筋肉に深く深く食い込む。
(腕ぐらい斬れなきゃ、頸なんて斬れない)
一瞬硬直する猗窩座に向かって、義勇と汐は援護しようと躍り出た。
炭治郎は全身に力を込めて刀を振り上げると、その太い腕を見事に斬り落とした。
(斬れた!!攻撃も躱せた!!汐の力の力も合わさっているから、通用する、戦える!!)
しかし頸は狙えておらず、致命傷は程遠い。しかも、炭治郎の着地の瞬間を狙って、猗窩座のもう一本の腕が彼の眼前に迫った。
――海の呼吸 壱ノ型
――潮飛沫
汐がすぐさま飛び出し、猗窩座の頸に向かって刀を振るう。しかし、刃が届く前に猗窩座は汐を蹴り飛ばそうと、そのままの姿勢で足を振り上げた。
――ウタカタ 漆ノ旋律
――幻惑歌
汐の姿は陽炎のように消え、その代わりに炭治郎の刃が迫った。
だが猗窩座は全く慌てる様子もなく再び炭治郎に拳を振るう。
――ヒノカミ神楽
――幻日虹
拳は空を切り、目を見張った猗窩座の後方に炭治郎は降り立つと、すぐさま刀を構えて振り返った。
その瞬間、猗窩座の頭部から血の雫が舞い上がった。