• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花~血戦編

第3章 無限城<壱>


更に別の場所では。

四方を襖や障子、畳などで囲まれ哉部屋で、実弥は一人静かに鎮座していた。

(お館様・・・、守れなかった・・・)

その顔には表情はなく、ただ後悔と苦悩だけが実弥を支配していた。
しかしそんな彼に、鬼は容赦なく牙と爪を向けた。

そんな鬼を実弥は立ち上がることなく、右手一本で振るった刀で細切れにした。

だが、それを合図にしたのか四方八方から鬼が次々にわき出し、実弥を取り囲む。

「次から次に湧く。塵共・・・。かかって来いやァ・・・」

実弥はゆらりと立ち上がると、鬼の群れに向かって顔を上げた。

「皆殺しにしてやる」

その表情は涙を流しながらも笑う、鬼を屠る者のものだった。

更に別の場所では。

「猪突猛進!!」

凄まじい足音を立てながら、獣の如く場内を駆け抜ける者がいた。

猪の皮を頭からかぶった少年、伊之助だった。
彼もまた、この無限城に落とされていたのだった。

「なんか突然わけわからんところに来たが、バカスカ鬼が出てくるもんで、修行の成果を試すのに丁度いいぜぇぇ!!」

伊之助は状況がわかっていないのか、笑いながら鬼を蹴散らしていく。
しかしその動きは以前よりも遥かに精錬されており、下弦ほどの実力の鬼を軽々しく打倒していった。

この無限城に落とされているのは、汐達や柱達だけではない。

玄弥、カナヲ、善逸もまた、別の場所だが落とされており、そのほかに何十人科の隊士達も落とされていた。

(何なんだ、ここは・・・。鬼の根城か?)

玄弥は次々に襲ってくる鬼を何とか倒しながらも、あたりを見回し走り続けていた。

(汐や炭治郎、他のみんなは?)

混乱しながらも玄弥は、大切な人達の無事を祈りながら足を動かす。

(兄貴・・・、兄貴も無事でいてくれ・・・・)
/ 75ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp