第12章 悲しみの底
。。。。。。。。。。
エルヴィンにはカリスマ性がある ミケや私もそんなエルヴィンに引かれていた
そんな気心の知れた仲間で久しぶりに食堂に集まりミケが手にいれた酒を飲んでいた
男2人はザルで飲んでも多少酔いはするけどシラフの時とかわらない
だから私1人がよっぱらって楽しくなって2人にうざガラミをする
今日もそんな感じで分隊長になったミケに分隊長の苦労話をするも
「お前よりモブリットの方が苦労してるだろ」
なんて事を言われ…そうだけど 私なりに苦労はあるのだと 立ち上りテーブルを叩いた
座って飲んでいる2人には窓の外までは見えないが立ち上った私には窓の外…私達のテーブルにだけに着けたランプの明かりに浮かんだ白いモヤのような物が目の端に写った
「なんだい…あれは…」
「お前飲み過ぎだぞ ガラスに写った自分を見て言ってるのか?」
「いや…私は白い服なんて着てないよ」
2人も立ち上り窓の外見る 雲が切れ青白い月明かりに浮かんだ白いモヤは人だった
「カナコだよね?」
「カナコだな」
「夜這いでもしに行くのか?」
「男子兵舎はあっちじゃないよ あの先は中庭だよね?」
リヴァイとの逢引きなら中庭なんか使わなくてもカナコの部屋に行けばいい1人部屋なんだから
それにカナコがリヴァイ以外の男に目移りするなんて考えられない
「裸足…カナコは裸足で歩いている」
エルヴィンの言った通りカナコは裸足で外を歩いていた
「俺とハンジはカナコの後を付ける おそらくは中庭だろうが 違った時はハンジを中庭に残しておくから ミケはリヴァイを連れてきてくれ」
昼間は汗ばむ位の陽気になってきているが夜は肌寒い
カナコは襲われてからは寝間着で部屋から出る事はなかった
ノースリーブのワンピースだけでこんな夜に1人でフラフラと歩くはずがない
リヴァイとケンカでもして飛び出してきたのか?それでもカナコに対しては過保護なリヴァイがほっとく訳はない
「なんだか様子がおかしいね…このまま後を着けよう もしかしたら何かトラブルに巻き込まれてるかもしれい」
私とエルヴィンは少し距離を開けてカナコを尾行した