第12章 悲しみの底
大切な仲間を失っても悲しむ暇は調査兵団には無くて
私は1日だけリヴァイと過ごしたら翌日からは大量の洗濯物との戦いが待っていた
血液の汚れは落ちづらく全身筋肉痛の体でなくてもなかなかの苦行だ
バネで回転させる脱水機が神に見えたくらいだ
ロープを張り脱水した制服を干していく 風にはためく沢山の制服を見ていると これだけの団員が生きて帰ってきてくれたんだ と思う でもそこにはファーランやイザベルは居なくて胸の奥が重苦しくなった
洗濯物が片付いた頃 今度は雑用係の仕事が待っていて私はしばらくの間は幹部棟と事務所を往復して仕事に忙殺されて悲しみを感じる暇がなかった
でも調査後の処理が落ち着いた頃に気が抜けてしまい そこで一気に溜め込んでいた感情が溢れでてしまった
リヴァイが隣にいない夜…ベッドが広く感じながらゆっくりと目を閉じた
初めは足が冷たい事に気づいた そして目を開けると私は暗い空間に立っていた
ここは…食堂?夢遊病のように夜中に兵舎を歩き回っていたのだろうか
2人を失ったのに私は夜中に飛び起きる事や突然気持ちが落ち込み涙が出てくる事も無かったから
ため込んだ悲しみがいつ溢れてしまうか不安で怖かった
夜に1人彷徨い歩く事の異常さよりも 体が悲しみに反応した事に私は安心していた
あぁ…やっと2人の死を受け入れようとしている 私は悲しみの底まで落ちてしまうだろう でもすべてを出してしまえば後は受け入れ乗り越えられる…
そう思い安心したのだ
この真夜中の徘徊はリヴァイが居ない夜だけに必ず起こった
調査兵団に残る事を決めたリヴァイは以前の態度とは違い仲間として団員と向き合っていた
分隊の仲間と飲んだり 食堂でポーカーをしたりして過ごす事が多くなっていて私の部屋に泊まる事が少し減っていた
寂しいけどリヴァイの変化は嬉しい事だったから私は秘密にしていた
だから1人で過ごす夜は温かい紅茶を3人分淹れて ファーランが私の部屋に置いてい逝った読みかけの本を読んだりして2人を私なりに偲んで過ごして眠りについた