第10章 出発
調査兵団が出発して4日が過ぎていた
午前中に医務室で兵団専属の医師から副木と包帯を巻き直してもらった
私が見てもモブリットの足の腫れは大分良くなっている モブリットも痛み止を昨日の夜は飲まなくても眠れたって言っていた
「足の腫れと痛みも落ち着いてきたから町に買い物でも行こうか?カナコもずっと勉強と花壇の手入ればかりだし気晴らしにどう?」
「行く!」
私が食いぎみに返事をしたからモブリットと先生が笑った
腫れがひいてるとはいえ乗馬は禁止なままで 町まではちょっと距離があるから小さな荷馬車を使う事になった
荷台に私が座る 村でトラクターの荷台に乗っていた小学生が頭に浮かぶ
「町に行くなら美味しいランチでも食べよう」
モブリットにお誘いを受けて 1時間後に荷馬車置場に待ち合わせになった
外食なんて本当に久しぶりだ だから私は少しだけおめかしをした
髪はハーフアップにしてベージュのリボンを結ぶ 唇に薄いピンク色のリップを塗った
服は薄いピンク色のブラウスにして荷台に乗るから下はリボンと同じ色のふわりとしたキュロットパンツにした
モブリットはもう荷馬車の準備も終わらせて厩舎にいる女性団員と話をしていた
アイボリー色のシャツに濃いベージュ色のパンツ カーキ色のカーディガンを着た私服のモブリットはスタイルもよくていつもよりカッコいい
「ごめんね 待たせた?」
モブリットと団員が振り向く
「カナコ…綺麗だね」
微笑むモブリットとは対称的に団員はムスッとした顔をした…
これはまた勘違いをされたかもしれない でも私服の2人が外出するんだから まぁデートと思われても仕方ないかな わざわざ説明するのも面倒くさい
「ありがとうございます 私服のモブリットも素敵だよ」
私は団員とは視線を合わせないようにして荷馬車へと歩いた
モブリットのおすすめの店は川沿いの遊歩道にある ちょっとオシャレな店だった
天気がいいからテラス席にした
始めてのお店だから料理のオーダーはモブリットに任せ 私はリンゴジュースをモブリットは「内緒ね」と言って昼間からビールを注文した
店員さんと少し話をしてオーダーを決めるモブリットはとても紳士的で魅力的だった