第9章 壁外調査 前日
調査兵団の本部を抜けてウォール・マリア内の居住地区とは反対側へとリヴァイは馬を向けた
緑色の丘を馬が越えた先には
枝が横に広がった広葉樹が1本生えていて その下には色とりどりの花が咲いて風に揺れていた
「すっっごい綺麗…」
「イザベルがカナコに絶対に見せたいって叫んだからな」
木陰まで着てからリヴァイは私を下ろし 馬の頭に着けている装備を外した
頭が自由になった馬は人間が伸びをするように顔を上げて首を伸ばしてからブルブルと顔を横に振り少し離れた場所の草を食べている
木陰になっている場所にシーツを広げ近くに落ちている大きめの石を置いてシーツが風に飛ばされないようにしてから靴を脱いで座った
リヴァイも膝を立て座り気持ち良さそうに空を見上げた 風に揺れる髪と横顔が綺麗で少しだけ見とれてしまう
11年も一緒にいるのになぁ…
まだドキドキする自分に笑っちゃう
私も空を見上げる…地球と同じ青い空に白い雲が浮かんでゆっくり流れ風が肩より下に伸びた髪を揺らす
私がトキメクくらいだから そりゃ無愛想で目付きの悪い三白眼のリヴァイの魅力に気付く団員もいるよね…
「綺麗だな…」
リヴァイの呟きに視線を下に落とすと
青い空 白い壁 緑の草原に 黄色や赤 ピンクに水色の花が咲いて風に揺れていた
「うん…本当に綺麗…元の世界でもこんなに野花が綺麗な景色は見たことないよ」
振り向くとリヴァイの顔が近くにありキスをされた 少し離れたリヴァイが笑う
「カナコが綺麗なんだよ」
「ど…どうしたの…突然…」
リヴァイはいつも愛情を素直に伝えてくれるけど今日はすごく恥ずかしい…
「ヤキモチ妬くカナコが悪い」
立体起動の訓練中にバランスを崩して巨大樹にぶつかりそうになった女性団員を助けた その団員から呼び出された
「あの時貴方が助けてくれたお陰で怪我もしなくて 今回の調査にも参加する事が出来た ありがとう」
お礼を言われて抱きつかれた…らしい
「バランスを崩して投げ出された姿がカナコが失敗して壁にぶつかった姿と重なって体が動いた…ただそれだけだ
俺が欲しいのはカナコだけだといつも言ってるだろ オイ…目 閉じろよ」
柔らかく笑う顔が近づいてくる さっきの突然のキスは目を開けたままだった私は素直に目を閉じた